バスのブログ

バスと言っても、ブラックバスではありません。走るバスです。

バス運転手の不足

バス運転手の人材不足は、業界内だけでなく一般にまで知られるようになってきました。夜のニュースで特集されたりもしていますし。

 

以前の記事で触れた「規制緩和」「自由化」の数々が引き金になったバス運転手の人材不足。

不可抗力に近い様々な事情も然り、バス業界全体での取り組みが弱い部分もあって、今現在も人材不足は続いています。

 

現在の問題としては、大きく3つ。

・運転手の高齢化

離職率の高さ

・採用難

です。

 

高齢化については少し違いますが、離職率の高さや採用難については、やはり環境整備が遅れている事が大きな要因です。

もちろん、この環境整備が進まない所に、公共交通機関であるバス事業の難しさがあるのですが。

体力の削られた状態から、立て直すのは本当に難しい。

 

まず、高齢化から見ていきましょう。

現在、バス運転手の平均年齢は全国平均で53歳と言われています。

 

「え、意外と若くない?」

 

と思いませんか。

 

これ、あくまでも全国平均であって、都心部のバス会社なども含めた数値です。

地方に行くほど、高齢傾向は顕著。

実際には60歳以上の運転手がバリバリ活躍している会社がほとんどを占めています。

 

定年後も嘱託待遇で働かれる方も多いですし、コミュニティ路線などで無理なく働くシニア世代も多くいます。

やはり経験がものをいう仕事ですし、現在の60代は全然元気です。

 

そして、運営目線でいうとスキルの高い人材を低コストで動かせる。

こんな良い事はありませんよね。

 

シニア世代が元気に活躍する!

 

もちろん素晴らしい事なのですが、やはりその世代が幅を利かせる事業って、発展性が無いのが正直なところ。

現状維持方向に傾向してしまうんですよね。

 

一般企業で50代~60代が主役の現場って想像つきますか?

例えば、人材派遣会社でそのような運営って出来ますか?

 

答えはNOですよね。

 

でも、バス会社はそれが出来てしまう。

いや、それが日常なわけです。

 

前職時代に取材などでよく営業所に出入りしていたのですが、休憩室や食堂などは独特の空気が漂っています。もちろん、いい意味でなのですが、若い世代がそこでイキイキと出来るかというと・・・ちょっと違いますよね。

 

別に、悪い事では無いのですが、世代交代がうまく進まない現場である事は間違いなさそうです。

 

 

次に離職率の高さ。

これも業界にとっては頭の痛い問題です。

 

こちらも様々な要素がありますが、上記シニア世代が主役の環境面が直結している事は否めません。

そして、待遇面の問題。

公共交通事業という事で安定感はあるものの、基本給の設定が低い事業者がほとんど。

いわゆる休日出勤などをして、はじめて並みの給与が得られるというのが一般的です。

 

ただでさえ、拘束時間が長いバス運転手。もちろん、法律で一定のレベルは保たれていますが、人手不足の中でダイヤを守る為にはやはり無理をしなければならない事も多く、運転手個人への負担は今でも多いのが現状です。

 

また、将来性の低い給与体系の事業者が多いのも特徴の一つ。

事業運営において、一般職と運転手を完全に分けて運営している事業者が大半を占めます。

これ、言い方は悪いのですが、運転手でいる以上、出世できないということなんです。

つまり稼げないという事。

運転手は新卒採用できないし、離職率も高いから・・・という大前提が生んだ悪循環要因の一つだと言えます。

 

そして採用難。

 

バス運転手は採用するのが本当に難しい。様々なネガティブ要素が複雑に絡み合い、且つ、大型二種免許という最高峰免許が必要。更に人の命を乗せて走るというハイプレッシャーな仕事という事で、なかなか職業の選択肢に入りにくいのが現状です。

 

終身雇用が絶対であった以前に比べると転職へのハードルは低くなってきた昨今。長年のキャリアを捨てて、全くの異業種に挑戦するという人も少なくありません。

が、いざバスの運転手となると話は別。なかなかにハードルが高いのが現状です。

会社説明会の参加者などにお話を伺う機会が多かったのですが、自身が挑戦したくても家族の同意が得られないという方も多くいらっしゃいました。

 

追々、書いていきますが、バス運転手の仕事って、イメージよりもずっと良いのですけどね。。。(イメージが悪すぎるとも言いますが・・・汗)

 

ただ、メディアなどで報じられる事故やアクシデントのニュースイメージが強く残っていたり、待遇面の部分などが大きく影響しているのが現状です。

 

もちろん、政策を見直し、抜本的な改革なくしてこの状況は改善しません。

が、事業者単位で取り組める事、取り組むべきことはたくさんあります。

なぜなら、取り組んだ結果、改善方向に向かっている事業者もあるわけですから。

 

実は、本件が私の専門分野です。

改善策や取り組みについては、ゆっくりの更新になりますが、こちらのブログに記していこうと思います。

 

という事で、今回はバス運転手の不足について、その主たる要因について書いてみました。