バス運転手の中途採用について⑤
何回かにわたって、プラットフォーム、採用ホームページの重要性を説いてきました。
では、その採用ホームページってどのようなモノなのかというところを簡単に纏めていきたいと思います。
(これを詳細まで書くと、代理店などの仕事を奪ってしまうので・・・(笑))
先ず、採用ホームページの役割って何でしょうか。
ここで一番陥りやすい間違いとしては、会社のPRページという認識で構築してしまうという事。
いや、間違いというか、正直殆どの制作業者担当者及び採用担当者はPRページと思っているのが現実です。
これが違う。
もちろん、最終的に会社に魅力を感じてもらわなければならないので、その要素も強いのですが、採用ホームページの利用目的は何であったか?を再認識する必要があります。
採用ホームページの目的は、バス運転手の仕事や御社に興味を持った方に対して、応募を促す、いわばクロージングのページです。
では、来訪者(求職者)は何を求めて来るのか?
それは、御社で働く事を具体的に描くための情報です。
それは魅力を羅列するもので良いのでしょうか?
バス運転手の仕事とはどのようなものか?
入社したらどのような過程を踏むのか?
事故を起こしてしまったらどうなるのか?
働く環境はどのようなものか?
実際の勤務時間や内容は?
同僚や先輩、上司は?雰囲気は?
キャリアアッププランは?
福利厚生面は?
あげればきりがありませんね。。。
つまりそこで働いている事を具体的に描けるリアルな情報を欲しているわけです。
よく、ネガティブ要素をひた隠すようなホームページを見かけますが、求職者はよく見ています。
というよりは、まず疑ってかかるのが求職者。その疑念やリスクを採用ホームページ上でゆっくり紐解いてあげるという事が、ポイントの一つになってきます。
「いやいや、うちの会社の現実を載せてしまっては、応募が来ないよ」という方。
であれば、ホームページはつくらないほうが良いかもしれませんね。
なぜ載せられないのか?その理由が解っているのであれば、改善すべきです。
(もちろん、運営上改善できない事もありますが)
その現場の問題を理解し、問題提起・改善提案を行うのは、採用担当者の仕事だと思います。
そのくらいのモチベーションが無ければ、良い採用活動なんてできませんから。
それも出来ない・したくないというのであれば、アナタはどの仕事においてもあまり明るいキャリアは画けないと思います。
話が脱線しました。
では実際にどのようなコンテンツを入れていくべきか。
ちょっと考えていきましょう。
まず念頭に置きたいのは、御社の採用ホームページに入ってくる層の中で、一番見込みに遠い層。「バス運転手ってどんな感じなのかな?」という少し興味があるという層です。
こちらの層に対して訴求すべきコンテンツは基本的な情報ですね。
バス運転手の仕事って実際にどんなものなのか?写真や動画などを駆使して、なるべくわかりやすく解説してあげるのは効果的ですね。
あと忘れてはいけないのが、大型二種免許について。どのような免許なのか?取得難易度はどうなのか?費用は?など、業界にいれば当たり前の事を噛み砕いて記載するというのは、意外と忘れられがちです。
また、同じような境遇で現在活躍している運転手さんはいないでしょうか?
もともとは殆ど興味なかったバス運転手の仕事になぜ今就いているのか?
この辺りの経験談は、そういったライト層に対して響くコンテンツになるかもしれません。
次に考えるべきは、未経験ですが既にある程度運転手になろうという考えをお持ちの来訪者。
ポイントになってくるのはその気持ちをグッと後押ししてあげるようなコンテンツでしょうか。
この辺りの層は、現場の情報を特に欲しがる傾向があります。今の職場や業務内容と比べるという作業を自然と行う為です。また、ある程度情報収集を行っている可能性が高きので、他社も意識したコンテンツ構築が必須となります。
ここで意識すべきは、待遇の良さではありません。そのコンテンツ内容の充実度と具体性です。
例えば、居酒屋のアルバイト募集の広告で
「明るく楽しい職場です!」
という表記と
「制服はアロハシャツ!イベント好きな〇〇大学の学生6名、ハワイアンミュージックの流れる賑やかなお店で、仲良く働いています!!」
では、どちらが現場イメージが湧きますでしょうか?
私のコピーが上手い・下手は置いておいて、個人差はあるにしろ、明らかに後者の方が具体的な情景が頭に浮かぶのではないでしょうか?
採用ホームページを作るうえで陥りがちなのが、前者のような表記です。
これでは、せっかくコストを割いてホームページを作っている意味がありません。
現場に踏み込める限り踏み込んだコンテンツや現役運転手をクローズアップしたコンテンツなどが応募を検討している求職者に響くものになります。
以前の記事でも書きましたが、現在、現場で活躍している運転手がいるという事は、何かしらのメリットややりがいなどを感じて働いているという事。そこをしっかりとした取材であぶり出すことが出来れば、例え一般的に見て待遇が悪かったとしても、決して見劣りしないコンテンツになるものです。
隠す事を考えるのではなく、伝える事を優先的に考えて構築して行く事が大切になります。
そして、最後に意識すべきは現役の運転手です。
つまり、他社で既に運転手として活躍している方が、転職を検討しているケース。
運転手からの転職組は、ポジティブに言うと既にある程度のスキルを期待できますが、ネガティブに言うと、悪い癖などが身についており、扱いづらいという声もよく耳にします。
特に接客面が重視される仕事ですので、そういう部分に慎重にならざるを得ないのはわかります。
が、ここの層を無視するのはいただけないですし、それこそ有効活用できれば、即戦力の補強が出来ますので、現場は大いに助かりますよね。
ここでポイントにしたいのは、キャリアプランの提示です。
まず、ある程度の運転スキルがある人材に対して、どのような条件で迎え入れるのか?
そして、どのようなキャリアアップが図れるのか?
条件面については、私の知る限りは、他の転職者と変わらない・入社祝い金などの金額差がある位ですが、ここに明確に差をつけるのも一つの方法です。
逆に経験者としての責任感・やりがいを与えるという方法。
転職というのは、かなりパワーを要す行動ですし、大きなリスクを伴います。
そして、いろいろ事情がありますが、今までの仕事をリセットして、新たにスタートを切ろうとしている人で、最初からモチベーションの低い人はいないはず。(採用しないはず)
経験者として甘やかすのではなく、やりがいを与え、ワンランク上の仕事ができるように後押ししてあげるイメージですね。
そのようなプランを構築して運用する事が出来れば、転職者採用の大きな目玉になりますし、うまく行けば現場も潤います。
転職者は金額や特別施策などの待遇面ではなく、業務内容に魅力のある会社に魅力を感じるものです。そこをクロージングコンテンツとして出せるホームページは強いですね。
また、キャリアプランを軽視すべきではありません。
運転手経験者の転職理由は、金額等の待遇面がすべてではないのです。
(待遇が原因であれば、同じバス業界は選びません)
毎日このまま同じ仕事を繰り返すのだろうか・・・など、仕事内容ややりがいを転職理由にする方は、想像よりずっと多い。もちろん、やるべきことだけをやって安定的に過ごせれば・・・という方も多いですが、そういった方はあまり転職市場に多く出て来る傾向はありません。
開示できる限りキャリアプランを開示し、より具体的に将来を描けるよう、ホームページに記載する事。そして、実例をあげて、真実味を持たせるのも良い方法です。
という事で、簡単にさわりの部分だけ纏めてみましたが、結構な量になりますね。
それほど、採用ホームページの内容については熟考すべき部分であり、拘って構築するべき項目というわけです。
ハッキリって、この内容次第で採用活動全体の進捗に大きく差が出ます。
話をもとに戻しますが、ホームページは会社のアピールをするところではありません。
しっかりと会社や仕事、現場を伝える場所です。
その構築を進める中で要改善項目が出てきたら、しっかりと改善検討してください。
この作成作業中に出てくる課題は、間違いなく採用難の要因に直結している部分となりますので。
「うちの会社はこうだから・・・」「こう決まっているから」「どうせうちの会社は・・・」という言葉が飛び交う限り、運転手の採用難は改善されないですよ。
広告出稿や予算を見直す前に、一番最初に着手すすべきところとして認識されると良いと思います。