バス運転手の採用イベントについて②
では、採用イベントの具体的な種類や内容について纏めていきます。
まずフォーマット化されたイベント、つまり開催(参加)しやすいイベントとしてはご存じ合同企業説明会があります。
合同企業説明会というと、リクルートやマイナビなど大手も頻繁に開催している採用チャネルに今や欠かせないイベントですよね。
今更ですが内容について纏めると、各企業が大型の会場に集まり、ブースを設け、来場者に対して直接説明を施すというものです。
ですが、このような一般的な合説というと、バス事業者が頻繁に参加しているイメージは無いですよね・・・。
何故なのか?
費用対効果が悪いという判断からでしょう。
バス運転手は人気職種ではありません。いや、不人気職種です。
こういった様々な業種・職種が参画するイベントでは分が悪い。
おそらく一日参加しても0~3名ほどの着席で着地する事が殆どでしょう。
こういったイベントはある程度参画費用がかかりますし、担当者の時間的コストも計算しなければなりません。
現状、割に合うものかというと疑問符がつくわけです。
この状況は、散々当ブログで書いてきているキャリアプランや環境、待遇面の向上が成されないと今後も改善されないでしょうね。
バス運転手採用難構造の縮図と思っても良いのが、このイベントでの疎外感です。
世間一般に職業の選択肢として認識してもらえない限り、いつまでも運転手採用に頭を悩ませる・・・莫大なコストがかかる・・・という状況は変わらないという事です。
重ねて書いてきた通り、一筋縄ではいかないのですが、業界をあげて改善方向に進みたいものですね。
そこで、採用担当者であればご存じでしょうが、その独特であるバス業界に特化した合同企業説明会というものが誕生し、コンスタントに開催を重ねています。
一番に名前があがるのが「ドラなびEXPO」でしょうか。
こちらは、バス運転手専門の転職サイト「ドラなび」を運営するリッツMC社が開催しているバス会社のみが集まって開催される合同企業説明会。
来場者はバス運転手志望者のみというイベントです。
こちらは一般合説に比べて着席率が高い。何故なら、不人気職種という概念を考慮しなくて良いからです。
一般イベントに比べて来場者数は少ないのですが、誰もが運転手になる気持ちが少なからずある、もしくは経験者であるというのが、バス事業者にとっての最大のメリットになりますよね。
目の前に見込みのある方々が何人も歩いている状況というのは、簡単に作り出せるものではありませんし。
ここでのポイントは、その分ライバルも多いというところ。つまり競争率が高いというところです。
この類のイベントですと、関東で30社程度参参画、一日の来場は300~500人位、関西では20社程度参画、来場は200人から300人程度でしょうか。
着席数はブースにもよりますが、一日で5~50着席位が見込めます。
が、実はこういった業種特化型のイベントは着席率が高いという特徴があります。つまり、自社ブースに着席し見込みとなった方が、他社ブースにも座るという事。
やはり自身が魅力を感じる人材というのは、他社担当も同じような印象を受けるものです。
よって、そういった人材は、一日に多くの熱烈な勧誘を受けるという事になります。
するとどうなるか。
見込みの確度が低くなるという事です。
そして、やはりそれなりに条件面で優位に立つ事も自ずと必要となってきます。
こういったイベントは、過去に自身で企画・運営したバス運転手の採用サービスにおいても、何度か開催しました。
それなりの成果があり、喜ばれてもいたのですが、開催を重ねるごとに疑問が・・・。
そう、この類のイベントはやはり決まった牌の中で運転手志望者及び現役運転手を取り合うだけであるという事です。
もっと、裾野を広げてのイベント開催であれば意味があると思いますが、来場者数が少ない中での開催は、コストと時間に見合うだけの価値があるかというと、開催している側からしても疑問符がついてしまったわけです。
正直、こういったイベントは主催業者はある程度儲かります。元々来場者が多くなく期待値の低いイベントの為、収容する箱の大きさやスタッフの数などミニマムに抑える事ができる=経費がかからないからです。
なので事業的には決して悪くないの、年に数回や各地で開催しがちです。
が、採用支援という目線からすると、いまいちパワーが大きくないチャネルであったと思うのですよね。
(もちろん、こういった専門合説を採用プログラムに組み込み、欠かせないものとして活用している事業者もあると思いますし悪い事ではありません。が、以降の定着率などは注視していく必要性を感じます)
バス事業の支援、特に採用支援をしている事業者は、もっとバス運転手志望者の裾野を広げる活動を同時に注力すべきかなと。
そういった活動との関連性があれば、より良いイベントになりますし、それこそ参加する意義のあるイベントになると思うのです。
(そういった活動を繰り広げるのが難しいのは重々承知ですが・・・)
さて、この合説のブース創りやフローについて簡単に。
まず、どういったイベントでもいるのですが、やたらのぼりや奇抜なPOPなどでブースを飾り目立とうとする事業者。確かに見た目上の差別化は出来ていますが、そこに労力を割くのではなく、もっと内容にこだわってみてはいかがですか?
ブース装飾の基本はわかりやすくシンプルで清潔感がある事です。会場内を練り歩く求職者の心に響くようなキラーワードを用意し、シンプルに掲出しましょう。
そして、一番気を付けたいのが、装飾だけがブース創りではないという事。
例えば担当者がやたら多かったり、お偉いさんが大勢の部下を引き連れて視察に来るようなブースに来場者は座りたいと思うでしょうか?
また、担当者が椅子にふんぞり返って座っているブースに座りたいでしょうか?
着席が無いからと言って、スマホを見ながら下を向いている担当がいるブースが座りやすいでしょうか?
合説会場では、来場者と事業者の立場はイーブンです。求職者を迎える姿勢には、その事業者の社風や体質が見え隠れする物です。
ブース装飾ではなく、担当者の熱意に満ちたブースというのは、自然と活気にあふれる物です。事業者だけでなく、求職者もジャッジしているという意識をもって、運営しましょう。
提示する条件面はもちろん大切ですし、ライバルへの差別化にもなる所ですが、最終的なジャッジはその会社の人たちと働きたいか?です。
こういったリアルイベントというのは、条件提示と共に、自分たちの会社の雰囲気や仕事に対する熱意を伝えるものという意識で臨むと、最大限にイベントメリットを活用できると思います。
まだまだ書きたい事があるのですが、長くなりました。
次回は合説以外のイベントについて纏めていきます。