バス運転手の採用イベントについて③
先回記事の合同企業説明会のようなフォーマット型でなく、自社で開催できる採用イベントについて、纏めていきましょう。
自社開催イベントは事業者の規模や採用人数をはじめ予算によってもその内容は変わってきますが、比較的安価に出来る事とタイミングも事業者の都合によって選ぶことが出来るところが自社開催イベントのメリットでしょうか。
そして、そのノウハウを蓄積できるというのも自社開催をする大きな価値であると思います。
ではどのような種類があるか。
言ってしまえば、無限大です。
ニーズに合わせて企画・実施すれば立派な採用イベントなわけですから。
と言ってしまっては話しが始まりませんので、例をあげていきますね。
自社開催イベントには集客という悩みがセットでついてきます。集客を進める為にはいつも以上の「プレミア感」「期待感」などを提供しなければなりません。
だって、基本不人気職種なのですから。
どれだけ、上記の”感”を演出できるかがポイントになりますね。
(ただ、〇〇プレゼント!などで集客するのは考え物です。そもそも集客が目的ではなく、採用が目的という事を忘れないように企画しなければなりません)
①運転体験イベント
自社構内で賄う事が出来る一番身近なイベント企画としては、この運転体験イベントがあげられます。
こちらのイベントは主に未経験者向けですね。『バスの運転手に興味があるけど、大型のバスを操る自信がない・・・』というかたは、想像以上に多いです。
そういった方々がイベントで実際にバスを運転する事で、バス運転手の最も基本の仕事である”バスを運転する”という部分を理解してもらうというのがコンセプト。
求職者へのクロージングというよりは、初期段階でより深堀してもらうためのものと認識すると良いと思います。
内容はただ運転するだけでなく、ドアの開閉やアナウンスなど身近でよりイメージの膨らむような体験をしていただくと良いでしょう。
また、実際の運転手などから話を聞く機会を設けるのも良いですね。
やはりリアルな声というのは心に響きます。そう、採用担当が説明するよりもよっぽど説得力があるという事です。
もちろん、体験だけではなく、募集要項をはじめとする説明なども織り交ぜたいところです。が、イメージとしてはあくまでも背中を押してあげるというスタンスで臨みます。
転職に際する多くの不安や懸念点のあくまでも一つである運転への不安をイベントで解消しただけの事というイメージで。
まだまだ多くの不安や悩みがありますので、どちらかというと説明よりは、そういったネックになっている部分を、個人個人聞き出して、一緒に解消してあげるというようなコミュニケーションの場を設けるのが良いと思います。
そのネックが全て解消されたとき、晴れて御社へ応募するでしょうし、すでにその時点で双方において信頼関係が生まれているはずです。
合同企業説明会とは違い、自社独自で行う会社説明会です。
こちらはライバルが周りにいない分、集客がポイントになりますね。
キラーコンテンツが無いイベントになりますので、なかなか引き合いが無いのが現状です。
が、来場する方の見込み度合いは他イベントに比べて高いのが特徴の一つ。ある程度検討を重ねた結果、興味があり来場している方々に対してそのような内容にすれば良いか、よく考えて内容を組み立てる必要があります。
口頭や資料による補足を交えた募集要項の説明などを行うのは当たり前ですが、足を運んでいただいた方に「来てよかった」と思っていただけるような詳細な説明と、信頼感を与えなければせっかくの機会を無駄にしてしまう事になります。
会社説明会というと一方的に説明するイメージが強いですが、参加型のイベントにするというのは、一つの方法ですね。
ターンごとに来場者に質問を投げかけ、コミュニケーションを図りやすくプログラムする事。イベント内で話癖をつける事によって、抱えている問題点や不安点、悩みなどを聞き出しやすくなります。
来場者に対して、その場で応募を促すのではなく、具体検討してもらう為により興味を深めてもらう、より安心してもらうというスタンスが大切です。
その他には、もし自社営業所で開催するのであれば所内を見学してもらう、食堂で食事をしてもらう、停留中のバスに触れてもらうなどのアクションも有効です。
具体検討している方は、入社後の自分の姿を描いているものです。より実務に近い部分に触れてもらうというのはリアルイベントならではのコンテンツになります。
また、家族同伴型にするのも良いでしょう。一般的にはメディアの影響もあり、バス運転手の仕事に対して家族がポジティブなイメージを持っていないケースが殆どです。
そこを解消する事は、応募に対して大きな前進になります。家族の不安を解消するようなコミュニケーションやコンテンツで迎えるのも良いと思います。
③乗務見学ツアー
更に踏み込んだコンテンツになりますが、運転手の乗務について理解してもらう為のイベントです。
もちろん回送扱いのバスになりますが、実際の営業コースをイベント参加者に乗車してもらい走ります。実際のアナウンス実演をはじめ、難所や注意箇所の解説など運転手の声を聞きながら体験します。乗務中のエピソードなどもあると良いですね。
こういったイベントは運転手の協力と綿密な準備が必要になりますが、良いフォーマットとして蓄積されるでしょう。
休憩中の過ごし方や、乗務サイクルなどはなかなか想像のつかないものです。入社後の自分を描くという観点からすると、こちらも有効なイベントと言えます。
④女性限定体験会
近年注目されている女性運転手を養成する為のイベントです。
まだまだ男性の世界というイメージが強いバス運転手ですので、こういったイベントを定期的に開催して、実際に参加者の応募を期待すると共に、総合的な広告効果を高めるという狙いもあります。
内容はやはり女性に特化したものがベスト。
進行をはじめ、女性運転手にも協力いただき、女性が格好良く活躍する姿に触れてもらうようなイベントを構築したいものです。
女性運転手とのミーティングや女性専用の施設(休憩室・寮・トイレなど)もあれば必ず案内したいところ。
(イベント自体を男子禁制にする事で、一層実のあるイベントになると思います。)
特に家庭との両立がネックになるケースが多いですので、その辺りを解消する事を念頭にコンテンツをプログラムすると良いと思います。
※スイーツを囲んで座談会をしたり、女性運転手指導の下、実際にバスを動かしたり、制服を着たりなどならではのコンテンツがあると思います
⑤遠隔地採用選考会
バス運転手の志望者は、他の職種に比べて勤務地の選択範囲が広いです。
地元だけではなく、近府県、いや日本全国まで視野を広げて採用するというのも方法の一つ。
(私が過去に開催していたバス運転手合説でも、勤務地は全国可という方は多数いらっしゃいました。これは他業種ではなかなかない事です。このあたりはメリットの一つと捉え、積極的に掘り下げて行って良いと思います)
地方に出向いて選考会をするのも一つですし、あえて都心部へ出て行くのも一つ。
地方は人口が少ない分広告訴求効果が弱いですが、出稼ぎ需要などもある為、比較的ヒット率も高いです。逆に都心部は広告訴求効果はありますが、Uターン需要などに限られます。総合的にみると、どの地域に関しても一定の需要と費用対効果が期待できると考えられますので、採用活動のチャネルの一つとして十分に考えられると思います。
実際に大手バス会社は積極的にこのような遠隔地採用を導入しており、一定の成果をあげていると言えます。
(ただし、乱発するのはコストが嵩むだけです。また、必ず完全予約制にする事。アポイントがある場合に限り、遠隔地に出向くという方法をとらないと非常に無駄の多いチャネルと化してしまいますので。)
とまあ、ざっくりとですが例をあげてみました。
上記は実際に開催実績があり、どれも一定の効果があったものです。
もちろん、事業者の規模や待遇、ニーズなどによって合致しないものも有ると思いますが、ベースにアレンジを加えるのも良いかと思います。
大切なことは、こういったイベントは、イベント単体だけで結果を出そうとしない事。
あくまでもきっかけづくりであり、見込みを増やすという活動という事を忘れないでください。
では、その見込みはどこに着地するのか?
そうです。構築したプラットフォーム、採用ホームページが最終クロージングをしてくれるはず。
全てのアクションが、少しづつですが欠かせない事である認識をもって、採用活動を進める必要があるわけです。