バスに足りない物って・・・
さて、色々と勝手に書き綴ってきましたが、やはりバス業界の課題は深刻ですね。
バス運転手の不足については、後々さらに深堀していきますが、今回はもう少し表面的な部分を書いていきたいと思います。
バスに乗車していて「足りない」と感じる部分は無いでしょうか。
乗車する側が足りないと感じる=ビジネスチャンスともいえるわけで、バス事業者問わず、色々と考えていきたいところですよね。
ざっとあげてみましょう。
・定時発着
一般道を使う以上仕方のない事ですが、やはり時間が決まらない所は、電車などに比べるとデメリットともいえますね。特に時間に厳しい日本社会では、結構致命的です。事故による渋滞だけでなく、工事などによっても渋滞は起こりますし、それこそ通勤ラッシュ時は乗客の乗降だけでも時間がかかってしまいます。
・利便性
以前の記事でも述べましたが、バスは利用難易度が少々高く感じます。〇〇にいく為には〇〇系統の〇〇行に乗る・・・という当たり前の事が複雑で分かりにくい。
地域交通を担ううえで仕方のない事とは言え、複雑化した路線は定期利用以外には少し使いづらい傾向があります。
事前に知らないといけない情報が多すぎるというか。。。
・サービス面
基本ワンマン運転の路線バスでは、サービス提供者は運転手一人だけです。
電車のように完全に隔てられた運転席でなく、ほぼ同じ空間にいる状況下では、運転手の動き一つ一つが電車に比べて気になる所。
アナウンス然り、乗降時の精算対応・挨拶などもダイレクトです。
全てが自動化し、システマチックになれば解消される事だと思いますが、現状の業態ではかなり気になる所です。
ここでサービス面を強化となると、人材教育や管理面に相当注力する事になります。離職率の高さや人材不足が指摘されるバス業界においては頭の痛い課題です。
・安全面
日本バス協会が安全性評価認定制度などを導入したり、日々安全運行には取り組んできましたが、やはり人身事故を含めたアクシデントはつきものです。
(車内でお年寄りが転倒する事故なども後を絶ちません)
同じ路線でも、刻一刻と交通状況や環境が変化する中、全ての運行において安全を確保するのは至難の業ともいえます。
また、犯罪目線で見てもセキュリティが高いとは決して言えない乗り物である事は否めません。
・プレミアム感
飛行機でいうとファーストクラスやビジネスクラス、電車でもグリーンやグランクラスがあります。
つまりそのシートに座るだけでもステイタスを感じるというサービスです。
もちろん、そういったシートの利用客というと富裕層であり、どの事業においても捕まえたいクラスの乗客です。
が、バスにおいてはそういったシートはありません。
(ドリームスリーパー号などのプレミアムカーも運行していますが、そもそも夜行バスべーすであったり実益というよりは、話題性による宣伝効果狙いでもあります)
・スピード感
先述したプレミアム感の無さにも影響する部分がこのスピード感です。
お年寄りを多く乗せた大型のバスが、スピーディーに動けるはずが無く、ビジネス利用客が少ないです。
すると必然的に富裕層やロット客の利用というのは期待できなくなります。
地域・庶民の足というスタンスにおいて、スピードというのは優先度が低いうえに対策も難しい項目ではありますよね。
と、ざっとあげただけでもこのくらい簡単に出てきてしまいました。
もちろん、悪いというだけではありません。
不足しているものの裏返しが、今のユーザーにとってはニーズである事もありますし。
こういった改善項目は、いわゆるDX化を進める事で本来は比較的簡単に解決できるものも有ります。
が、現在の高齢者を中心とした客層を鑑みるとそう簡単ではない。
いや、コストをかけて改善した事が、逆に利用客減に繋がってしまう恐れもある。
問題提起された事へ対する対処の難しさが、現状の最大の問題と私は考えています。
もちろん、運行する地域などにもよりますが、それこそ大きなシフトチェンジや抜本的な改革が必要である状況かと。
まあ、長くバス事業に携わってきた人間からすると、今のバス文化を継承したまま、新しい時代にアジャストさせていきたいと強く思うわけですけどね・・・。
この「何か少し足りない・・・」がバスの良さでもあるわけで。
いや、この考え方はちょっと主観が強すぎるかな。。。