バス運転手の中途採用について①
さて、そろそろ核心の部分に入っていきたいと思います。
核心というと大袈裟ですが、バス業界と深く接点を持っていた私ですが、専門分野は採用領域です。
いつの間にかバス業界にどっぷりと浸かり、支援活動をしていた私ですが、元々は採用系広告会社の一営業マンでした。
別にバスが好きでしょうがなかったわけではありません。
仕事をきっかけに深堀するようになり、その魅力と共に課題の多さを知ったわけです。
私に出来る事は無いかと考えたところ、一番の課題でもある運転手の採用についてなら、少なからず業界のお手伝いが出来るのではと、長年尽力してきました。
最後の頃は、「あいつはバスマニアだから・・・」的な見方もされていたような・・・。
まあ、あれだけ仕事でバスに接すると、見ただけで車種名がわかったり、乗ったバスの運転手さんとお知り合いだったりは当たり前ですよね。
別にマニアの方を否定するわけではありませんが、基本、マニアではありません。悪しからず・・・。(笑)
では本題に移ります。
バス運転手の中途採用というと、厳しい中でも様々な方法があります。
一般的には
・求人広告を駆使しての採用(紙広告、WEB広告、交通広告、インフラ広告など)
・ホームページを運用しての採用(自社採用HP構築、リスティング等運用など)
・SNS運用による採用(TwitterやFacebookなどを使っての採用)
・イベント採用(体験会、説明会、合説など)
・リファラル採用(社員や知人を介しての採用)
・人材紹介活用による採用(人材紹介会社からの紹介入社)
があげられますね。
大手バス会社をはじめ、様々な手法で採用活動が行われていますが、どれも決め手に欠く状態が長年続いています。
あたりまえですよね。
運転手を希望する人が少ない、つまり裾野が狭いわけですから。
しかも上記採用方法は継続するうえでかなりのコストを要します。
でも、そもそもやらないと採用ができない。。。いや、人が減る一方というのがバス業界です。
では、まずは基本となる求人広告についてです。
求人広告というと様々な種類があります。
主だったところをあげると、
・新聞折込連合求人広告
・単独折込チラシ
・新聞広告
・フリーペーパー広告
・有料誌広告
・転職サイト
・専門求人サイト
などでしょうか。
上記広告はそれぞれ訴求層に違いがありますし、特長があります。
言ってしまえば、得意なジャンルと苦手なジャンルがあるという事です。
求人広告は基本的にプッシュ型とプル型に分かれます。
プッシュ型は、自動的に目に入る広告です。
例えば新聞の折り込み広告。これは各世帯の新聞に折り込まれることから、自動的にご家庭に入り込む広告です。例えば、何か特売は無いかな・・・?と折込チラシを見ている方の手元に気が付いたら届いているというもの。
言い方に語弊があるかもしれませんが、無理やり広告を手元に届けるというものです。
(もちろん、連合紙の場合は求人紙として認識されていますので、転職に興味のある方が手に取るのですが、他の手法に比べてアプローチ率が高い広告ともいえます)
逆にプル型とは何か。
自ら情報を引き出すという意味のプルです。
ここでいうと、フリーペーパー広告。
求人フリーペーパーを手に取るというアクションは、少なからず求職ニーズがある方という事になります。
逆にいうと興味のない方には全く届かない広告ともいえますね。
更にその色が濃いのが、転職サイトです。
先ずは転職サイトにアクセスするというアクション、更にサイト内で検索をして自らが希望する業種や職種を探し出すという作業が必要です。
では、どちらが良いのか?
答えは、「どちらも役割があり、基本広告としては有効」です。
もう少し掘り下げていきます。
では、この広告に条件を提示していれば応募があるのかというとちょっと違います。
訴求先の特性が違うという事は、そのアプローチも変えるべきです。
まず、プッシュ型広告で意識すべきところは、潜在的求職者です。
転職する気が無いという方には難しいですが、「今の仕事に何となく疑問を持っている」「このままでいいのか不安」という方は、我々が想像する以上にたくさんいます。
プッシュ型広告の良い所は、そういった明確に転職願望があるわけではないが、近い将来に求職者になり得るという方にアプローチが出来る所です。
そういった方々へ、バス運転手という仕事について、興味を持ってもらうような広告を掲出して行く事が有効という事なんです。
では、どのような内容にすればいいのか。
ありがちなのは、「入社祝い金〇〇万円支給!」「月収〇〇万可能!」のような煽り内容ではなく、事業規模や将来性、そしてなにより仕事の内容ややりがいについて伝える広告が長い目で見ると利いてきます。
心を動かさなくてはならない(運転手の仕事に興味をもってもらう)わけですから。
世に見るほとんどの広告は、高待遇面を前面に出した表面的な広告が殆ど。
これは、すぐに結果が欲しい採用担当者からすると仕方のない事なんですが、この辺りのロジックをしっかりと理解し、方向性を正して行く事は大切な事です。
では、プル型広告の場合はどうか。
こちらに関しては、既にバス運転手に興味を持った方が対象になりますので、営業でいうとクロージング段階の方が対象になります。
つまり、現実的な部分の待遇面などをわかりやすく記載し、転職後の姿が描けるようなものを記載する広告が良いわけです。
採用規模の大きい事業者ほど、広告の出稿量が多く、担当する代理店や広告会社に内容を任せていませんか?
その担当者が状況をしっかりと把握し、広告作成していれば問題ないのですが、殆どの担当者が前週の流用やレイアウト・写真変更だけで済ませているのではないでしょうか。
それで応募が来ないというのは当たり前ともいえますし、厳しく言えば業務怠慢です。
運転手募集の費用対効果を高めるというのは、確かに難易度の高い作業ではありますが、現状のルーティンを改善する事で少なからず好転する可能性があるという事をぜひ認識いただきたいと思います。
あと、広告全体に言える事ですが、賃金や待遇面だけで勝負しようとしている事業者が多いです。
正直にいうと、残念ながら稼ぎたい人が選ぶ職種ではありません。
世の中にはもっと稼げる仕事がたくさんあります。
なぜバス運転手になるのか?
一番わかりやすい所でいうと、自社の運転手が「なぜバス運転手になったか?」「なぜ、バス運転手を続けているのか?」を、採用担当者がしっかりと把握している必要があります。
採用広告は、求職者に対しては企業の顔。
その顔を作るという重責を担っているのが採用担当者なのです。
採用担当者が現場の事を知らないようでは、効果のある広告など作れるわけがありません。
また、パートナーである代理店や広告会社の担当者も同じように情熱をもって対応してくれているかも重要な所。
「応募効果が無いから・・・」「どうせ広告出しても来ないから」と嘆く前に、日頃の業務に改善点が無いか、よく分析する事をおすすめします。
もちろん、前述したとおり、現時点で裾野が狭い中での活動です。
難しいのは当然ですが、バス運転手として毎日働いている人がたくさんいるのも事実。
この辺りに改善策を見出してみるのも一つです。
求人広告について、まだまだ書くべき事があるのですが、だいぶ長くなりました。
また、別記事で書いていこうと思います。